トローリングヘッド製作の手順
Trolling heads manufacturing procedure
オリジナルトローリングヘッド製作の紹介です。貝、石、角 など多種多様なトローリングヘッドがありますが、樹脂(エポキシなど)ヘッドでも釣果は負けません。
その証拠に、海外では、樹脂ヘッドが主流で、コア(ヘッドの中に仕込んであるモノ)もホログラムシートなどで簡素な作りのものが多いです。
実際に、貝のヘッドと一緒に流してみて、樹脂ヘッドの釣果が良い時もあるのです。いかがですか、試しにヘッド製作にチャレンジしてみませんか?


①準備
Preparation for production
説明にあたって、参考事例としてライト トローリング用エポキシ樹脂ヘッドヘッド長さ55mm/パイプ埋め込み型/パイプ直径4mm(内径3mm)コアは四角柱、(ホログラムシート、貝シート)を例に説明していきます。
工具
① ドリル(回転数が変わるものが使いやすいです)
② 鉄鋼又は木工ドリル刃(使用するパイプ径に合わせて)
③ 鉄鋼又は木工ヤスリ(ヤスリ部が▲のものもあるとよい。丸パイプのバリ取り様のヤスリも必要です)
④ サンドペーパー(耐水 240番・400番・800番・1500番・2000番・フィルムペーパー3000番、磨き用コンパウンド)
⑤ 万力など(ドリルを固定出来れば、どんな状態でもOK)
⑥ ハサミ・カッター(ホログラムシートなどを切る時に必要です)
⑧ ポンチ(「目玉」をホログラムシートなどで作る場合は必要です)
⑨ テツノコ・パイプカッター(金属パイプを切る時に必要です)
材料
⑩ シリコン(「シロプレン」など = シロプレンは、真空ポンプが要らないので扱いが簡単です)
⑪ エポキシ樹脂(透明)(ポットライフが長いモノが扱いやすいです)
⑫ 丸棒(マスター木型を作る時に使います)
⑬ 金属丸パイプ(真鍮パイプ外径4mm・3mmなど)
⑭ アルミ角(パイプボディー形状に納まるサイズ)
⑮ 接着剤(製作時間短縮の為、速乾性なら何でもよいです)
⑯ 目止め剤(ラッカースプレー・セルロース・ニスなど)
⑰ ガン玉など(ウエイト用)
⑱ 各種ホログラム・貝シート(お好きなデザインのモノ)
⑲ 油粘土(抜き型を作る時に使います)
⑳ ペットボトルなど(抜き方を作る時に使います)
㉑ 輪ゴム(抜き方を作る時に使います)
㉒ マスキングテープ(コアを作る時に使います)
㉒ 両面テープ(コアを作る時に使います)
本来は、設計図の作成(ラフスケッチ)をして、寸法・コアのデザインなど決めます。では設計図は出来たものとして準備に入ります。他に、真空ポンプ、旋盤(木工旋盤など)、ボール盤、グラインダー などがあれば作業性がよくなりますし、品質も向上します。
②マスター型製作
Master mold production
マスター型は、抜き型を作る時に使う オス型(凸型)のことです。今回の説明は、丸棒を使っていますが、エポキシ系の粘土、バルサ など成型が安易な材料であれば何でもいいです。
① 丸棒を切ります。 設計図の全長より、2~3mm長めに切断し断面は直角になるように気を付けてください。
② 穴をあけるドリルで、丸棒のセンターに、金属パイプの外径と同じ穴を明けます。 出来るだけセンターになるよう両側から少しずつあけるのがコツです。
③ 金属パイプを切ります。穴を明けた丸棒に対し、50mm前後長めに切る
④パイプ丸棒に通す丸棒の穴に切断したパイプを通し接着します。パイプが丸棒の両側から、それぞれ25mm前後ずつ出るようにしてください。ようは、ドリルチャックで掴めるようするためです。
⑤ ヤスリで大まかに削り形をにしていきます。パイプ部をドリルにセットし、図面のボディー形状に削っていきます。この時、ドリルを固定しておくと作業しやすいです。
安全の為、低速回転から作業していって下さい
⑥ 大まかに形が出たら、ペーパーでならす。出来るだけ凹凸のなくなるようにすると後の作業が早くなります。
⑦ 目止めを塗りますが、乾燥後ペーパーがけをします。この作業を数回繰り返し表面を滑らかにします。表面がツヤツヤな方が、完成後で磨き作業が少なくてすみます。
③抜型製作
Die production
マスター型ができたら、次は抜き型です。抜き型とは マスター型(凸)に対し(凹)のことです。ココに樹脂を流し固めると、マスター型の複製ができるわけです。
① 透明の筒を作ります。 ペットボトルをハサミでカットして、長方形を作ります。高さは、マスター型の パイプ全長より2cmくらいは長めにしてください。この板を丸めて、輪ゴムで3箇所くらいとめて、筒を作ります。筒の直径は、マスター型直径プラス1cmくらいに調整します。
② 粘土で土台を作ります。大き目の方が重くて安定します。高さ5cmくらいの、円でも四角でもいいです。ただし、上面と下面は平行に、また上面は出来るだけ平らにしてください。
③ マスター型を粘土にセットします。粘土の土台中央に、透明の筒を軽く当て、円形の印を残します。
その印の中央に、マスター型を差し込みます。差し込む方向は、頭が上でスカート部が下です。
粘土にマスター型をセットします。
注) 金属パイプ穴は粘土などを詰めて蓋をします。
↑ こんな感じになるわけです。
④ シリコンを流す作業に入ります。 説明書に従いシリコンを準備します。主剤と硬化剤を混合し、出来るだけ気泡が入らないように良く混ぜます。
いったん 透明の筒を外し シリコンをハケでとり、マスター型表面に軽く塗ります。
塗り終えたら、前段階で付けた印に合わせ筒をセットします。マスター型の頭が隠れるまで、シリコンを徐々に流し込みます。粘土ごと傾けて 透明の筒に沿わせて 気泡が立たないように 流し入れていきます。シリコンの容量は、筒の体積から割り出してください。
後は固まるのを待つだけです。固まったら 粘土を外し マスター型を抜きます。ボディーの抜型の完成です。
④コア型製作
Core production
次にコアを製作します。コアとは、ボディーの中に入る「核」のことで、ホログラムシート・貝・アイ(目玉) などが貼り付けられている部分です。コアのデザインは見た目のイメージをかなり左右しますので、丁寧に また色々と工夫してみてください。
① 金属パイプを切ります。 抜き型に仕込むので、抜き型の高さより最低2cmくらい長めに切っておくと、型から抜く時に便利です。バリはよく落としておいてください。
② アルミ角パイプを切ります。設計図の長さ通りに 角パイプを切断します。バリはよく落としておいてください。
③ 位置決めをします。 金属パイプのどの位置に角パイプがくるのか、設計図を元に、パイプに印をつけます。
④ マスキングを貼ります。角パイプの切り口の片側を、マスキングテープでふさぎます。仮押さえですので、2重,3重でかまいません。
⑤ 穴をあけます。貼り終えたマスキングテープのセンター付近に金属パイプが通る穴をあけます。穴は多少小さい方がいいです。
⑥ 仮止めをします。 金属パイプを角パイプ張ったマスキングの穴にに通し印を付けた位置に合わせます。
⑦ ウエイトの仕込み角パイプ反対側からウエイト(今回はガンダマ)をいれ、接着接着剤を流し込みます。
⑧ 固まったら、マスキングをはがし、貼り付けイメージの通りにホログラムシートや貝を貼り付けます。両面テープや接着剤を使います。直接見える部分になるから、汚れやキズに注意してください。剥がれ防止に、透明ラッカースプレーなどで一吹きすると尚良いです。
⑤樹脂流し込み
Pour resin
ここまでくれば作業は最終段階、エポキシ樹脂の流し込みです。
① コアのセット前項で組みあがったコアを抜き型に仕込みます。
② エポキシの混合分量よりほんの少し多めに混合します。出来るだけ泡の立たないように2分から3分くらい混ぜます。混合が不均一だと、縞模様が入ったり、硬化しない部分が出来たりしますので、じっくりと混ぜてください。
③ 泡抜き混ぜ終えたら、2~3分くらい養生します。小さな泡が浮き上がったらOKです。エポキシの種類によっては、ポットライフが短いものもありますのでご注意ください。
④ 流し込みです。表面の泡をある程度すくってから流し込みます。コアのセットされた抜き型を斜めにして、ゆっくりと流していきます。一気に流すと気泡が入ってしまいます。最後は型をまっすぐに戻して、硬化収縮する分を考えて、表面張力で盛り上がるまで目一杯流し込んでください。
⑤ 食器乾燥機などで、熱を加えて硬化させます。自然硬化させる場合は、透明の箱のようなものに入れて、日の当たるところで温度を上げる手もあります。硬化する時間は、エポキシの種類によって違います。また熱を加えすぎると、発火の恐れがあるものがありますので、使用するエポキシの特性を良く理解して正しく扱ってください。完全に硬化するまで待ちます。
⑥型抜き
Pull out from the die
エポキシが硬化したら、型から抜きます。
① エポキシの硬化を確認して型から抜きます。シリコン型 と 硬化したエポキシ の境目を はがしていきます。その後、パイプをペンチなどで挟んで、シリコン型を引っ張ると、はじめに、はがした部分が徐々に広がって、最後には、スポッ と 抜けるはずです。
エアが使えるようでしたら、パイプにエアを入れれば簡単に抜けてきます。
⑦削り
Sharpen
スカート部の削りに入ります。
木工旋盤 あるいは ドリルで 削ります。
⑧磨き
Polish
磨く前に 余分なパイプを切断し バリ取りをします。表面の状況次第ですが、仕上げ磨きで事足りる場合は、コンパウンドで全体を磨いて、ツヤが出れば完成です。
キズなどある場合、あるいは ツヤがない場合などは 1500番手から2000番手くらいで 全体をくまなく磨いて、次にコンパウンドで仕上げ磨きをします。
これで完成です。

